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「第9回 機関投資家のスチュワードシップ活動に関する上場企業向けアンケート集計結果」
の公表について

2024年5月24日

 年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)は、運用受託機関のスチュワードシップ活動に関する評価と、「目的を持った建設的な対話」(エンゲージメント)の実態および変化の把握を目的として、上場企業向けアンケートを毎年実施しており、本年の結果を以下の通り公表いたしました。

  • アンケート回答状況

■ 対  象: TOPIX構成企業 2,154社(2023年12月18日時点)

■ 回答社数: 717社(前回735社)

■ 回 答 率 : 33.3%(前回34.0%)

■ 回答期間: 2024年1月18日~3月22日

  • 宮園理事長コメント

 9回目を数える本アンケートにおいても、大変多くの企業の皆様からご回答を賜りました。本アンケートへご回答をいただきました企業の皆様におかれましては、お忙しい中、多くの貴重なコメントやご意見を頂戴し、厚くお礼申し上げます。
 今回のアンケートでは、「東京証券取引所の『資本コストや株価を意識した経営の実現に向けた対応』の要請について」、「社外役員による対話の具体的な内容や感想」、「取締役会でのESGやサステナビリティの議論状況」、「自然関連財務情報開示タスクフォース(TNFD)について」などの質問項目を追加いたしました。
 『資本コストや株価を意識した経営の実現に向けた対応』については、昨年の東証の要請を受けて、ほとんどの企業が対応に取り組まれている一方、対応を検討するうえでの課題を感じている企業も多くいらっしゃいました。本アンケートでは、それらの課題に加えて、企業の本件に対する投資家への期待も掲載しています。また今回、GPIFの国内株式運用受託機関によるエンゲージメント全般について、高く評価された事例を公表いたしました。運用受託機関の皆様におかれましては、これらの投資家に対する期待や評価をご参考にしていただければと思います。
 また多くの企業から、当法人の運用受託機関が実施する対話の実態把握に向けたヒアリング等にご協力いただけるとご回答いただきました。
 GPIFでは、本アンケートの回答内容やヒアリング内容なども参考にさせていただきながら、これからもスチュワードシップ活動やESGの取組を一層推進してまいります。

  • 本アンケートのトピックス

1.東証の「資本コストや株価を意識した経営の実現に向けた対応」の要請の影響

今回、東証の「資本コストや株価を意識した経営の実現に向けた対応」の要請に関する質問を追加しました。当該要請について、ほぼ全ての企業が社内での議論を行っており、さらにそのうち8割もの企業が取締役会で議論しています(予定含む)。機関投資家側においても、コーポレート・ガバナンス報告書の活用状況等から、既に当該テーマに関する対話が増加していることが示唆されました。一方、当該要請への対応を検討するうえで、企業は様々な課題を感じており、概ね①社内での浸透、②資本コストの算定、③開示内容、④具体的な施策、⑤投資家とのギャップに大別されました。また、多くの企業から当該テーマの対話に関する投資家への期待も示されており、企業が抱える課題を踏まえた建設的な対話の進展が期待されます。

HP1_東証要請.png

2.自然関連財務情報開示タスクフォース(TNFD)への対応状況について

これまで当アンケートにおいて、気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)の対応状況を継続的に質問してきましたが、今回のアンケートでは、新たに自然関連財務情報開示タスクフォース(TNFD)への対応状況も追加しました。昨年9月のTNFD最終提言公表からまだ間もないこともあり、TNFDに沿った情報開示を行っている企業は、TCFDに比べて非常に限定的だった一方で、多くの企業が今後開示予定としており、開示企業が拡大していくことが見込まれる結果となりました。

HP2_TNFD対応.png

以上

For All Generations