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「GPIFポートフォリオの気候変動リスク
・機会分析」を刊行しました

2020年10月2日

2020年8月に公表した「2019年度ESG活動報告」では、昨年度に開始した「気候関連財務情報開示タスクフォース」(TCFD)の提言を受けた開示について、分析対象をさらに広げ、気候変動によるリスクと機会の資産横断的な評価に挑戦しました。

今回の気候変動によるリスクと機会の分析については、チューリッヒに拠点を置くMSCI社のMSCI Climate Risk Center(同社が2019年秋に買収をした旧Carbon Delta)、パリに拠点を置くFTSE社傘下のBeyond Ratings、S&P Global社傘下でロンドンに拠点を置くTrucostの3社に委託を行いました。気候変動関連の分析で、世界有数の分析能力を有する3社のご尽力により、世界でも先端的な分析を行うことができました。

「2019年度ESG活動報告」では、紙面に限りがあり、これらの分析を広く、深くご紹介できなかったことから、この度ESG活動報告の別冊として「GPIFポートフォリオの気候変動リスク・機会分析」を刊行することと致しました。

<主なコンテンツ>

・カーボンフットプリント/カーボンインテンシティの測定及び要因分析
・温室効果ガス排出についての企業の情報開示
・気候Value at Risk(CVaR)によるリスクと機会についてのシナリオ分析
・技術的機会が企業価値に与える影響について
・国債の気候変動関連分析
・ポートフォリオの温暖化ポテンシャル

<宮園理事長コメント>

本レポートの分析は、GPIFのポートフォリオを対象とした分析が中心ですが、パッシブ運用が中心で全世界の株式・債券を幅広く持つGPIFのポートフォリオにおける気候変動リスクや機会を分析することは、世界の資本市場が晒されているリスクと機会を分析することと実質的に同義であり、世界の他の投資家の方々にとっても参考になる情報であると考えています。

また、企業の方々にとっても、世界の国々や企業が気候変動に関連して、どのような課題やリスクを抱えているのか、逆に課題解決のために必要とされる技術にどれだけの価値があり、ビジネスチャンスが生まれるのかについて、ご参考にしていただける分析であると考えています。

本レポートで示された、1.5℃シナリオの方が2℃、3℃シナリオよりも技術的機会が増大することで株式価値が向上するという分析結果は、気候変動リスクの高まりによるコスト増に目が行きがちな投資家や企業経営者に勇気を与える結果とも言えるのではないでしょうか。

数十年先までの気候変動やそれに伴うリスクや機会を正確にとらえることは、現実には極めて困難であり、分析結果については、かなり幅をもってとらえる必要がありますが、投資家のみならず、企業の方々にも、気候変動に伴うリスクと機会を考える上での一助となれば幸いです。

For All Generations