3. 分散投資の意義

要約

  • 債券や株式のように、特性の異なる複数の資産に分散して投資を行うことにより、長期的にリスク(収益率の変動幅)水準を抑制できることが、これまでの国内外の経験則や投資理論で明らかにされています。
  • このため、公的年金積立金運用においては、国内債券を中心とし、国内外の株式等を一定割合組み入れた分散投資を行うこととしており、これにより、国内債券で全額運用する場合と同程度のリスク水準で、期待収益率を引き上げたものとなっています。

(1)分散投資の基本的な考え方

安全かつ効率的な運用の手法としての分散投資

「一つの籠に卵を盛るな」という西洋のことわざがありますが、年金積立金運用に限らず、一般に、大切な資金を安全かつ効率的に運用するためには、特性の異なる複数の資産に分散して投資を行うことが適切であり、効果的であることが国内外の経験則や投資理論から明らかにされています。

すなわち、債券や株式のように、収益率の動きが異なる複数の資産に適切に分散して投資を行うことにより、長期的には、リスクを抑える(収益率の変動幅を小さくする)ことができ、同程度のリスク水準であれば、相対的に高い収益率の確保が見込めるということです。

(2)国内債券への投資の意義

運用対象資産としての債券の特性

債券は、政府や企業などが資金調達のために発行する有価証券であり、一般に満期に額面で償還されることが期待できるため、リスクの低い資産と言われています。このため、安全確実を目指す年金積立金運用の対象として重要な資産です。特に、国内債券は、年金給付に必要な自国通貨での現金収入をもたらす資産であるとともに、国債市場を中心とする国内債券市場は規模が大きく流動性も高いことから、年金積立金運用において中心となる資産です。

(3)株式及び外国資産への投資の意義

運用対象資産としての株式の特性

株式は、株式会社が資金調達のために出資者(株主)に対して発行する有価証券であり、株式への投資は、株式会社の経済活動の成果を享受するものとも言え、全体としては経済の成長と大きな関わりがあります。このため、運用収益の形で公的年金制度が経済成長等の果実を享受するものと言えます。債券と比較すると、株式の場合、債券のような元本保証はなく、相対的にリスクは高いものの、長期的には、株式全体の収益率は債券の収益率を上回るものとされています。

なお、株式投資を行うことに伴い、公的年金積立金という資金の性格に鑑み、個々の企業経営への影響に十分に配慮しつつ、長期的な株主等の利益の最大化を目指す観点から、運用受託機関を通じた株主議決権の行使といった株主としての権利と義務を適切に果たしていくことは、受託者責任の観点からも必要なことと考えられます。

運用対象資産としての外国資産の特性

外国資産(外貨建て資産)への投資は、経済成長段階や経済循環の異なる各国、各地域に分散して投資を行うという「国際分散投資」の考え方に基づいて行うものであり、これにより、国内資産への投資だけでは得られない幅広い分散による、ポートフォリオの効率性の改善が期待できます。

また、資金規模の大きい公的年金積立金が国内市場へ与える影響を回避・軽減する観点からも、外国資産を一定割合組み入れた国際分散投資を行うことは、長期的に見て、効率的な投資と考えられます。

ただし、外国資産への投資については、最終的に円建てでの実質的な収益の確保が求められる年金積立金運用においては、円高や円安に伴う為替変動のリスクがあるほか、政治的リスクや決済リスクなど、リスク推計の数字には表われない、国内資産には見られないリスクやコストがあることにも留意し、分散投資を行うことが必要です。

分散投資によるリスク水準の抑制

将来の年金給付の財源となる貴重な年金積立金であるからこそ、長期的な観点から、安全性と効率性の両面のバランスに細心の注意を払いつつ、「安全かつ効率的な運用」を実践するため、分散投資を行っているものと言えますが、分散投資の意義は、長期的にリスク水準の抑制が期待できることにあると考えられます。

具体的には、国内債券とは収益率の動きの異なる国内株式や外国資産を一定割合組み入れた分散投資を行うことにより、長期的には、リスク(収益率の変動幅)水準を相対的に低く抑えることができ、同程度のリスク水準であれば、相対的に高い収益率を期待できるということです。

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